学生時分、帰りがけによく宿題したりレポートをまとめたりしたのが、馬場の駅前のジャズバーのテーブルでした。
あるときそこで勉強に夢中になっていて、気がついたら最終電車ぎりぎりになってしまいました。するとそこの魅力的なママさんが、家に泊まる?と僕に声をかけてくれました。
その日はなんとか最終で帰れたので、それはそれっきりとなり、それ以来なんとなくその店とは疎遠になってしまいました。
その代わり、新宿東口のグランドバー「ワイズメン」のカウンターで宿題をこなすようになっていました。
バーテンダーとも親しくなりました。彼は女性客を僕の隣に誘導したり、気分のいい男どもを近くの席に呼んだりしてくれました。
もちろん勉強どころではなくなりましたが、おかげで幅広い友達が増えました。
その当時彼らとともに遊んだのが、僕にとっての輝かしい青春の一ページとなりました。
海が好きで、浜辺にも島にも出かけました。山へはキャンプやハイキングで行き、河原でのバーベキューもよくやりました。ドライブでも方々へ行きました。
アウトドアが大好きな連中でしたが、もちろん都内でも暇さえあれば良く飲んでよく笑って、大騒ぎしました。

バンドを組み、レコードを自費で作ったり、テレビドラマのエキストラに出演を果たしたりもしました。
そんなキラキラと元気の良かった時代の写真がたくさんセピア色となって、遺影の代わりに棺の上に飾られてありました。
彼の好きだったフォークソングがPCからリフレーンされているなか、若くして急逝した僕の大好きだった友人が、静かに永遠の眠りについていました。
先週の土曜日のことでした。
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翌日から、首筋から肩が猛烈に凝って、仕事どころではなくなり、月曜日、早退して行きつけの整骨院にマッサージを施してもらいました。
おかげでそれはずいぶん楽になりましたが・・・。
会計を済ますと、たまにここに出張して、待合室で店を開いている評判の良い占い師さんがいました。
僕は不眠症や耳鳴りのこともあり、急に肩が凝った原因(たぶん精神的なもの)も知りたかったので、生まれて初めて占い師さんの判定を仰ぎたいと思いました。
いや、本心を言うと、これらの精神的な弱い部分を全部吹き飛ばしてもらいたかったのです。
「ものすごい強い運気ですよ。全部いいほうに人生が向かっています。健康運、金銭運、家族運、仕事運、絶好調です!なんにも心配いりません。どんどん前向きにことを進めていってください」といった具合に。
しかし、算命学とタロット占いは、ことごとく僕の期待を裏切るものでした。

ここに書くのも滅入るほど地味な生活と忍耐を強いられるもので、ガッツでランニングを始めたり、うきうきと海外旅行に出かけたり、仕事で思い切った決断をするなど、すべて能動的なものは控えるべしとのご託宣でしたし、なにより健康面でのエネルギーが小さいうんぬん、には正直凹んでしまいました。
たぶん彼女にとってはまったく悪意のない判定なのでしょう。それはよく分かります。僕が占いに慣れていなかっただけで、たぶん慣れた人なら、それなりに自分の中で咀嚼して、良い方向に持っていくことが出来るのかもしれませんが・・・。
夜、趣味の仲間と神保町の中華屋で飲みました。口々に慰めてくれました。中には実体験に基づいてのアドバイスもあり、かなり気分がまぎれました。
持つべきものは良い輩(ともがら)で、いつまでも友達は元気で近くに居て欲しいものだと痛感しました。
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